あなたは、誰かのために
「怖い」と思いながら、それでも一歩を踏み出したことはありますか?
私はこの映画を観たとき、
自分がどれほど「小さな勇気」すら出せない日があるかを
思い知らされました。
映画『ハリエット(Harriet)』は、
アメリカの奴隷制度の時代を生きた
実在の女性、ハリエット・タブマンの物語です。
彼女は、奴隷として生まれながら、
命をかけて自由を勝ち取り、
それだけでなく――
自分以外の人間を救うため、何度も“戻る道”を選んだ女性でした。
数百人もの奴隷を解放へ導いたとされる彼女の人生は、
英雄譚として語られることもあります。
けれどこの映画が描くのは、
恐れを知らない超人的な存在ではありません。
それは、
恐怖に震えながらも、
「それでも、私は何を選ぶのか」
と自分に問い続けた、ひとりの人間の姿です。
この記事では、
映画の「ハリエット」の魅力だけでなく、
実在したハリエット・タブマンの逸話まで踏み込みながら、
彼女が私たちに残した
“自由を選ぶついうことの重さと勇気”について、
掘り下げていきたいと思います。
ハリエット・タブマンは、「自由を選ぶことをやめなかった人」だった
ハリエット・タブマンは1820年頃、
アメリカ南部メリーランド州で、奴隷として生まれました。
子どもの頃から、家族と引き離され、
暴力と恐怖の中で生きる日々。
「人として扱われない」という現実が、当たり前の世界でした。
それでも彼女は、
自由を諦めることだけは、しなかった。
「自由になりたい」──ただその想いだけで、逃げると決めた
自由黒人の男性と結婚したある日、
彼女は、自分が売り払われる計画を知ります。
その瞬間、選択肢はひとつでした。
「逃げる。
どんな危険を冒してでも」
彼女は約160km以上の距離を、
たった一人で歩き抜きます。
地図はない。
頼れる人もいない。
失敗すれば、即捕まり、命を奪われる世界。
それでも彼女は、立ち止まらなかった。
「勇気」という言葉では、
少し足りないほどの決断でした。
自由になったあとも、彼女は「戻る」という選択をした
普通なら、自由を手にした瞬間にこう思うはずです。
「もう二度と、あの場所には戻らない」
命を賭けて逃げ延びた先にあるのは、
安堵と、静かな人生。
それで十分すぎるほど、報われている。
けれどハリエット・タブマンは、違いました。
彼女は自由を手にしたあと、
再び南部へ戻る道を選びます。
仲間を救うために。
地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)という“命がけの救出ルート”

ハリエットが関わったのが、
「地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)」と呼ばれる秘密の脱出網です。
鉄道といっても、線路はありません。
切符も、駅もない。
あるのは、
奴隷を匿う家、
夜道を導く合図、
そして、裏切れば全員が死ぬという緊張感だけ。
ハリエットはこの地下鉄道の
“車掌(コンダクター)”として、
奴隷たちを北へ導きました。
彼女が連れ帰ったのは、数百人の「人生」
実際の歴史記録によるとハリエットは、
- 約13回の救出遠征
- 救出した仲間は 70人以上
- また彼女の助言で逃れた人々を含めると 約300人とも言われている
- 一度も仲間を死なせなかった
この最後の一点は、あまりにも有名な逸話です。
逃亡中、恐怖で戻ろうとする仲間がいると、
彼女は銃を突きつけ、静かに言ったそうです。
「引き返せば、あなたは捕らえられ、みんなが危険に晒される。
私たちは全員で行くしかない」
優しさと、厳しさ。
その両方を背負い、彼女は前へ進み続けました。

映画『ハリエット』は、“歴史教科書からこぼれ落ちる感情”を描いている
この映画が素晴らしいのは、
ただ歴史的な偉業をなぞる作品ではないところです。
描かれているのは、
英雄としてのハリエットではなく、
選択のたびに揺れ続ける、ひとりの人間の心。
始終つきまとう、命の危険。
仲間を失うかもしれないという、重すぎる責任。
黒人女性として、当然のように軽視される理不尽。
そして、
「自由とは何なのか」という、答えのない問い。
それらすべてを抱えながら、
彼女は進み続けます。
この映画の中のハリエットは、
決して“完璧な英雄”ではありません。
迷い、怖がり、立ち止まりそうになりながらも、
それでも前に出る。
あなたの目にも、
彼女の 震える手 が見える瞬間があるかもしれません。
でも、その震えこそが、
この映画が描きたかった「本当の強さ」ではないかと思うのです。
そこに触れたとき、
この作品はただの伝記映画ではなく、
今を生きる私たちの物語になります。
奴隷制度と差別の歴史を、“自分の話”として受け取れる映画
奴隷制度の歴史。
それは、つい「過去の出来事」として片づけてしまいがちです。
けれど、
今も世界のあちこちで起きている差別や偏見を見ていると、
本当に“終わった話”だと言い切れるでしょうか。
映画『ハリエット』は、
歴史を知識として教えるのではなく、
ひとりの人間の生き方として、胸に手渡してくる作品です。
誰かに価値を決められ、
声を奪われ、
選択肢すら与えられなかった人生。
それでも彼女は、
「それでも私は自由でいたい」と考え続けました。
ハリエット・タブマンには、
今も語り継がれている有名な言葉があります。
「私は、自分が自由であることを確信していた。
だから、自由になるために戦った」
この言葉が教えてくれるのは、
自由は“誰かに与えられるもの”ではなく、
自分で選び取るものだということ。
それは、
大きな歴史の話であると同時に、
私たちが日々、
「黙るか」「声を出すか」
「諦めるか」「踏み出すか」
を選ぶ、その瞬間にも重なっています。
ハリエットがくれたのは、“自分の人生を選び取る力”

映画を見終わったあと、
私はしばらく、言葉を失ってしまいました。
静かな部屋のなかで、ふと思ったんです。
――私たちは、どれほど恵まれているんだろう、と。
朝起きて仕事に向かい、
好きなときに本を読み、
会いたい人に会い、
不満があれば、声に出していい。
いや、
「声に出していい」と思えること自体が、
もう自由の証なのだと気づかされました。
もし私が、あの時代に生まれていたら。
きっと目の前の差別や理不尽に飲み込まれて、
恐怖の前で足がすくみ、
何もできないまま
“普通の人生”を終えていたかもしれません。
私が勇気を出せなかった世界で、
ハリエットは、たったひとり声を上げ、
たったひとり闇の中を進みました。
そして、
「自由は、誰かだけのものじゃない」
ということを、
命をかけて証明してくれたのです。
私たちが今、
当たり前だと思っているこの日常は、
彼女が命がけで切り開いた道の、
ずっとずっと先にある光なのだと思います。
だからこそ、
ふと迷ったとき。
自分の無力さに押しつぶされそうになったとき。
私は、この映画を思い出したい。
――たった一歩の勇気が、
未来を変えてしまうことがある。
そんな、
シンプルで、強くて、
逃げ場のない事実を、
ハリエットは教えてくれました。
だから今日も、
心のどこかに小さく刻んでおこうと思います。
**「この自由を使って、
少しでも優しい方向へ歩いていけますように」**と。
もし今日、
「私も、まだ何かを選び直せる気がする」
そんな余韻が残っているなら。ハリエットと同じように、
それぞれの場所で人生を選び直した女性たちの物語も、
きっと胸に届きます。
「ハリエット」は、どこで見られる?
もし今、
少しだけ立ち止まりたい気持ちがあるなら。
言葉にならない違和感や、
うまく飲み込めない怒りがあるなら。
この映画は、
静かな場所で、ひとりで観てほしい作品です。
ハリエットの物語は、
答えをくれるというより、
「あなたはどう生きたい?」と
そっと問いかけてきます。
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※配信状況は変わるため、リンク先でご確認ください。
今すぐじゃなくていい。
でも、必要な夜が来たら、
この映画を思い出してもらえたら嬉しいです。

