もし、あなたが信じていた
「幸せな日常」が、
最初から作られた嘘だったと知ったら、
あなたならどうしますか?
家族の写真。
笑顔のメッセージ。
何気ないやり取りが並ぶ、SNSのタイムライン。
そこに映っていたのは、
私たちが「理想」だと思い込んでいた、
ごく普通で、穏やかな家庭の姿でした。
映画『アメリカン・マーダー:一家殺人事件の真実』
(American Murder: The Family Next Door )は、
実際に起きた一家殺害事件を、
本人たちが残した映像やメッセージだけで追っていく
異色のドキュメンタリーです。
特別な誰かの話ではなく、
私たちのすぐ隣にあるかもしれない物語。
この映画は、事件の真相を暴くための作品ではありません。
むしろ、観終わったあとに残るのは、
「どうして、気づけなかったのだろう」という
静かな問いです。
答えは、簡単には出ません。
けれどその問いは、
あなた自身の「日常」を、
少しだけ違う目で見せてくれるかもしれません。
映画『アメリカン・マーダー:一家殺人事件の真実』とは
2018年、アメリカ・コロラド州で実際に起きた
一家失踪事件をもとに制作された、Netflixのドキュメンタリー映画です。
この映画、
いきなり「衝撃の事件」から始まるわけではありません。
むしろ最初は、
「よくある、幸せそうな家族だな」という印象です。
笑顔の動画。
楽しそうな家族写真。
SNSに並ぶ、何気ない日常。
正直、ここまで普通だと、
「これがあの事件の話だ」と言われても、
まだどこか現実味がありません。
でも、この“普通さ”こそが、
あとからじわじわ効いてきます。
映像はぜんぶ本物。SNSと記録映像だけで描いた異色のドキュメンタリー
この作品には、
俳優も、再現ドラマも出てきません。
使われているのは、
SNSに投稿された家族の動画、
夫婦間で交わされたテキストメッセージ、
警察のボディカメラ映像など、
実際に残された記録だけ。
笑顔の写真。
何気ない日常のやりとり。
どこにでもありそうな、普通の家族。
笑っている声も、
何気ないやりとりも、
あとから振り返ると、全部意味を持って見えてきます。
説明が少ない分、
違和感に気づくのは、いつも少し遅れてからです。
「幸せそう」に見えるって、いったい何なんだろう
この事件が多くの人の心に残るのは、
特別に荒れた家庭ではなかったからかもしれません。
SNSに映るのは、
仲の良さそうな夫婦と、可愛い子どもたち。
努力して築いてきた、理想的な家庭像。
SNSに映っていた家族は、
少なくとも“そう見える”存在でした。
けれど、その「幸せ」は、
どこまでが本物だったのでしょうか。
映画は、
はっきりと答えをくれません。
ただ、記録を積み重ねることで、
観ている私たちに問いを残します。
信じていた日常は、
いつから、どこで、すれ違っていたのか?
最初から、どこか歪んでいたとしたら?
この映画が、観る人の心を静かに追い詰めてくる理由

『アメリカン・マーダー』が重く感じるのは、
残酷な事件そのものよりも、
**そこに至るまでの「普通さ」**にあります。
「どこにでもありそうな日常」を、
淡々と積み重ねていきます。
その積み重ねがあるからこそ、
後半に向かって、
日常に潜む狂気が浮き彫りになっていくんです。
見ているうちに、他人事じゃなくなってくる
最初は、
「アメリカで起きた、遠い事件」のはずなんです。
文化も違うし、
自分の生活とは関係ないと思っている。
でも、
SNSに映る家族の様子が、
あまりにも“よくある日常”すぎて。
楽しそうな動画。
ちょっとした愚痴。
家族との、なんでもない会話。
それらはすべて、
私たちが毎日見慣れているものと
ほとんど変わりません。
どこかの誰かではなく、
自分のすぐ隣にありそうな生活に見えてくる。
その瞬間から、
この映画は、少しずつ距離を詰めてきます。
なぜ私たちは、この事件が「他人事じゃない」と感じてしまうのか?
この映画を観ていて、
一番ぞっとするのは、
特別な家庭にはまったく見えないところかもしれません。
ニュースでよくある
「異常な人物」「歪んだ家庭」
そういう分かりやすいラベルが、ここにはありません。
「普通の家族」に見えたからこそ、怖い
映画の中で紹介される、
この家族のSNSには、
仲の良さそうな写真。
笑顔の家族。
よくある、どこにでもありそうな日常です。
むしろ、羨ましいとさえ思えるほど。
だからこそ、
観ているこちらも油断してしまう。
「この家族は大丈夫」
「よくある幸せな家庭」
そう思ってしまう自分がいて、
あとから何もわかってなかったと気づかされます。
私たちは、どこまで他人の人生を信じているんだろう

この映画は、
事件そのものよりも、
私たちは、
“見せられているもの”を
どこまで本当だと信じているのか
という問いを残します。
SNSでも、職場でも、近所でも。
私たちはいつも、
相手の「一部」しか見ていません。
それでも、
「きっと大丈夫」
「幸せそうだから」
そうやって安心したい。
その安心そのものを、
この映画は静かに揺さぶってきます。
おすすめしたいのはこんな人
「実話」に弱い人へ
この映画は、
派手な演出やドラマチックな再現で引っ張るタイプではありません。
実際の映像、実際の言葉、
本当にあった出来事だけを淡々と観せてきます。
だからこそ、
「これは作り話じゃない」と、
腹に落ちる。
- 実話をもとにした映画やドキュメンタリーが好き
- 事件の“背景”や“空気”まで感じたい
そんな人には、確実に残る一本です。
👆作られた感動より、事実が持つ重さを感じたい人に向いています

「幸せそうな日常」を、少し疑ってしまう人へ
表に見えているものと、
その裏で起きていること。
私たちは普段、
“見えている部分”だけで人を判断して、
安心したり、距離を縮めたりしています。
この映画は、
その危うさを、
静かに、じわじわと突きつけてきます。
- 人の心の奥が気になってしまう
- 「普通」という言葉に、少し違和感がある
そんな人ほど、
観終わったあとも、長く考え続けるはずです。
👆「見えているもの=真実」だと思えなくなった人に刺さります。
後味の軽さより、“考える余白”を大切にしたい人へ
正直に言うと、
観終わってスッキリする映画ではありません。
胸の奥に、ざらっとしたものが残ります。
私はこの感覚こそが、
この映画の価値だと思います。
誰にでも、人生を一変させてしまう出来事は起こりうるし、
その引き金は些細な事なのかもしれない。
答えは出なくてもいい。
考えてしまうこと自体が、
この映画を観た証拠です。
👆余韻が残る映画を求めている人にこそおすすめです。
観る前に知ってほしいこと(注意点)
この映画は、
「観てよかった」とすぐに言えるタイプの作品ではありません。
スリリングで面白い、というよりも、
観終わったあと、心のどこかがざわざわしたまま残る映画です。
犯人の気持ちが完全に理解できるわけでもなく、
事件の理由がきれいに整理されるわけでもない。
むしろ、
「わからなさ」や「気味の悪さ」を
そのままこちらに渡してくるような作品です。
だからもし今、
- 気持ちがかなり落ち込んでいる
- 今日はただ安心したい
- 頭を空っぽにして映画を観たい
そんな夜なら、
無理に選ばなくてもいいと思います。
この映画は、
元気をくれる作品ではありません。
でもその代わり、
「日常を疑う目」や
「人を信じるって何だろう」という問いを、
とても静かに残していきます。
少し余裕のある夜、
ひとりで落ち着いて観られるときにこそ、
この映画はちゃんと届くと思います。
この映画を観たあと、心に残るもの
観る前と、
観たあとで、
同じ日常を見ているはずなのに、
少しだけ景色が変わってしまう。
この映画は、
大きな教訓も、
前向きな答えもくれません。
ただ、
「本当に信じていたものは何だったんだろう」と、
心の奥に小さな疑問を残していきます。
その違和感を、
忘れずに眠れるかどうか。
それはもう、
観た人それぞれなのだと思います。
もし今、心に引っかかったなら
この記事を読んで、
少しでも心に引っかかるものがあったなら。
『アメリカン・マーダー:一家殺人事件の真実』は、
派手ではないけれど、
観終わったあとに日常の見え方が少し変わる映画です。
静かな夜に、
気持ちが追いつくタイミングで再生してみてください。
▶︎ Netflixで『アメリカン・マーダー:一家殺人事件の真実』を観る

